「音」楽に「専」らのめりこみ「満」足と「充」実を多視点から伝えるブログ
 
小路幸也 『東京公園』
東京公園

図書館の新刊の棚にあって、帯カバーの解説を読んで「あ、なんか良さそう」ということで借りてみました。写真家の娘としましては、写真というワードに反応せざるを得ないです。

多分きっと小路さんも写真をお撮りになるのでしょうね。主人公語りでストーリーは進んで行くのですが、そこからひしひしと感じました。だけど、出てくる人出てくる人みんな写真のことを理解している人で、「いやいや、これはないよ、写真のこと分かる人なんて普通殆ど居ないから」と思いました(嗚呼私の性格の悪さが滲み出ているな・・・)。

大雑把に云ってしまえば20代前半の男女の青春小説です。すっごいピュア。ほんわか。10代と違って、大人の社会に足を踏み入れていて、尚且つ若さがある、というのが20代の良いところだと思うのですが、そんな若人の微妙な心理もよく掴めているなぁ、と思った。みんないい子だわ。いい人ばっかでちょっと物足りないわ(性悪)。やわらかい空気の流れる作品です。

富永ちゃんみたいに、「あの輝きを分かる男はなかなかいない」という女の子って居ますよね。凄く素敵な女の子なのに、彼氏居ない、みたいな。

20代前半の人々は読むべし。映画化しても面白そう。
【2006.11.22 Wednesday 23:41】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
町田 康 『テースト・オブ・苦虫 1』 『テースト・オブ・苦虫 2』
テースト・オブ・苦虫〈1〉 テースト・オブ・苦虫〈2〉

00年からヨミウリウィークリーで連載されているエッセイ。うーん、エッセイっつっても、やっぱり多分町田さんは人を楽しませたいんだと思う。そのためにはちょいちょいフィクションも使うのね。というか殆どフィクションかも、カッコ笑い。

町田さんの面白いところは何もかも真面目なところです。真面目っつーか生真面目の部類かしら。真面目にくだらないことをしているのが、凄い美学ね、これ。諺ネタなんてその冴えたる物ですな。個人的に、1巻の【国際うどん祭り】は声を出して笑いました。だってこれ、あのマーチダさんが書いているんですよね?いやー、笑うわー。あと、パンク歌手のくせにパンク歌手には似つかわしくないほど真面目な自分をネタにしたりと、町田さん流の笑いをトバしてくれます。

1つ1つが濃密だから、一気に読むのは大変かもしれないけれど、合間合間に読むと、心が解れてリフレッシュ。人生に疲れた時に如何ですか。
【2006.11.20 Monday 16:37】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
町田 康×いしいしんじ 『人生を救え!』 『人生を歩け!』
人生を救え! 人生を歩け!

『人生を救え!』には町田さんの人生相談と町田さんといしいさんの対談が載っていて、『人生を歩け!』には町田さんといしいさんの対談だけが載ってる。まぁ、いわゆるひとつの、ファン向け本ですな。

正直、町田さんの人生相談っちゅうのは、面白いけど、役に立たないモンが多いんですけども(えー)、心が豊かになります。この回答は町田さんなりの真摯な態度なんじゃないかな。とても丁寧にお悩み内容を読んでいることが充分回答から伝わるので、お悩み相談者はそれだけでも救われるんじゃないかしら。

あとは、嗚呼、世間の人々と私ってあんま変わらないのかなって思った。みんな、コミュニケーション関係で悩んでたりして。某バンドの「ねぇ、そんな苦痛をみんな耐えてんだ」って歌詞、最初聴いた時からグッと来てたんだけど、またまたこの詞が心に刺さった。で、あと、あー、こんな悩みもあるのねー、と思ったりして。私、この本読まなかったら「年齢障害」なんて病気知らない儘だわ。

対談内容は救えと歩けで続いてるんで、もし読むのならば絶対に救えから呼んだ方が良いです。個人的には歩けのほうが好き。
【2006.11.16 Thursday 12:10】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
荒木経惟×町田 康 『俺、南進して。』
俺、南進して。

アマゾンマーケットプレイスで送料手数料込で600円台で購入しました。アラーキーの撮った写真にインスパイアされたマーチダが小説を書いた、というコラボレーション本。

私、アラーキー好きの写真家の娘のくせに、アラーキーの写真を初めて見ました。初めて見た感想は、何て生々しいんだろう、ということ。それは撮っているものが生々しいとかそういうわけじゃなくて、何を撮っても生々しいと云うか、迫力があると云うか、、、。普通の街なのに、アラーキーが撮るとすっごく生々しくて。吸い込まれそうで、ビックリした。母から「アラーキの写真は泥臭いと云われている」と聞いて、強ちあたいも間違ってないじゃん、なんて思った。個人的に、ウィルキンソンのジンジャーエールを持っている町田さんの写真(一瞬見せた目をシャッターで切った刹那的な感じがイイ)と、交差点の写真と、見上げた木の写真と、岸子の横顔の写真が特に好き。やばいわ。電車の中のアラーキーとマーチダ2ショットも良い。

町田さんの小説は相変わらず俗っぽくない。この小説の主人公は、犯罪に手を染めた小説家で女をコマすのも当たり前。舞台も風俗旅館とか乱交サロンとかなのに、小説からは清潔感すら感じられるから不思議だ。マジックだ。でも独特の気持ち悪さもちゃんとあるし、此処までグロくて此処まで清廉な文章を書ける人は居ないと思う、多分。淡々と独特のリズムで広げられる、刃のような文章。それにプラス色気。何この人。凄いわ。岸子とのタクシーとエレベーターのシーンとかマジ良い。ニクいわ。

小説の内容も分かり易いし、写真もあるから、すぐ読めちゃった。映画のように読める本です。オススメ。
【2006.11.15 Wednesday 11:28】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
江原啓之 『幸運を呼ぶ「たましいのサプリメント」 スピリチュアル セルフ ヒーリング[夜眠る前に聴くスピリチュアルCD付き] 』
幸運を呼ぶ「たましいのサプリメント」 スピリチュアル セルフ ヒーリング[夜眠る前に聴くスピリチュアルCD付き]

タイトル長ぇー!!私、江原さんはモノホンのかただと思っています。仮にモノホンでなかったとしても、これだけのことを仰るかたなら、別にモノホンでなくたっていいやぁ、と思います。書いてあることに矛盾点は無いし、筋道が通っているし。

自分の嫌な部分を見つめるというのはとても勇気が要ることですが、それに気付かないと前には進めないですから、私も口内炎とものもらいと偏頭痛が慢性症状なのですが、口内炎は「口に気をつけなさい」という警告だとか、ものもらいは「人のあら捜しをしていないか」とか「見たくないものを見ているのではないか」とか、そういう警告が出てるんですって。云われてみれば思い当たる節もあるので、あちゃー、いかんなー、と思ったりして。自分を見つめなおすキッカケを与えてくれる本だと思います。

「信仰し過ぎても危険だ」って書いてあったわ。

CDは聴いてないですけど、どんな内容なのかしら。
【2006.11.13 Monday 17:19】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
町田 康 『真実真正日記』
真実真正日記

黒いです。本の縁も全て黒いです。本体(カバーの下)の表紙は白いのかと思い開いてみると、ブライスドールの真黒な髪が左から右にワッサー・・・。読む前からゾクッとさせます。

町田さんは、主人公や登場人物の心情を書くのが本当にお上手です。自分がその人物になってしまったかのような、若しくはその人物の心の中に入り込んでしまったような。

この本にはある男の2年半分の“日記だけ”が収録されています。何が真実で何が嘘なのか。何が正常で何が異常なのか。何が現実で何がまやかしなのか。人の心と云うのは、宇宙なんかより余程広い。

読み終えてから表紙を見て、こういうことか、と思った。読んでいる最中・読了直後よりは、読了後少し間を置いてからじわじわと来るタイプの本だと思います。外装も内容も、白と黒のコントラストに鳥肌。町田 康は進化し続けていると感じた1冊。
【2006.11.11 Saturday 21:11】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
町田 康 『パンク侍、斬られて候』
パンク侍、斬られて候

本当にあたし町田さんしか読んでないな・・・。

とってもリアルでとってもファンタジー!一応舞台は江戸時代で、この本も長編時代小説ってことになってるんだけど、ボブ・マーリィやイマジンは出てくるわ、エスパーは出てくるわ、プーさんやみつばちハッチも出てくるわ、更には喋る猿まで出てきやがる。登場人物の言葉は古語と現代語が入り乱れ、侍はみんなサラリーマン。すっごい風刺が効いてる。町田さんは過去を使いながら現在は勿論、未来まで示唆してしまっている。すげー。

オチは安易に予想出来たけど、町田さんの小説に伏線オチが来たのは意外だった。

これまでの作品と違って、登場人物の台詞にも、ト書き(小説でもト書きと云っても良いのかしら)にもメッセージ性が強い。惨殺シーンやグロい描写も多いのだけど、それはタランティーノ映画ではなく、北野映画のニュアンスに近い。色々考えさせられるところが多かった。これアニメ化してもらいたいなぁ。みんなキャラ立ってるし。それなりのところでアニメ化したら絶対に面白いと思う。ジブリさんやってくれないかなぁ(するわけない)。

今も昔も、町田文学は音楽でありますな。天晴。読み易いので、町田さん読んだことない人もこの作品から町田さんを読み出してもイイと思います。
【2006.11.05 Sunday 10:59】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
町田 康 『夫婦茶碗』
夫婦茶碗

本っっ当に町田さんて憎めない駄目人間書くの巧いな。【夫婦茶碗】に出てくる「わたし」だってそうだ、何だかんだで愛妻家なんだから。ゾルバの件が始まってからは町田さんならではの濃い世界が広がるので、読んでいるとワクワクするしドキドキする。これ、これなのよ。これがたまんないのよ。

そうそう、あと、町田さんの作品って俗っぽくないんだわ。下品さがないのね。「淫乱王女・アブノーマル調教」っつっても全然下品じゃないし。何でなんだろうなぁ。此処まで笑えて、此処まで鋭く凛とした文章を書ける人って居ないんじゃないかと思う。

けど併録の【人間の屑】は、町田作品にしては(あくまで“しては”)俗っぽくて、読み易い気がしました。ストーリーの進み方も普通だし。主人公は本っっっ当に馬鹿で駄目々々なんだけど、なんか憎めない。何さ猫の家系図って。町田作品にしては珍しく、肩の力を抜いて読める作品だと思います。【くっすん大黒】とか【河原のアパラ】の延長線上って感じかしら。深く考えずゲラゲラ笑うのが良い。新幹線の家族連れとか「あるある」って思ったよ、コー君!
【2006.10.29 Sunday 10:43】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
太宰 治 『斜陽』
斜陽

太宰は『人間失格』を小5の時に読んで「きついな」と思って、中2の時に『走れメロス』を授業でやって、それ以来読んでいなかったのだけど、うーん、太宰の良さは今の私だからこそ理解出来るのかもしれないなぁ。と思った。多分、高校の頃読んでても良さは分かってないと思う。私の第二暗黒期(20〜22歳)に読んでたら私は確実に堕ちっぱなしだっただろうし。ははは。

私は太宰に詳しくないから何となく感じたことを書きますが、この作品は「4人の太宰」が主人公なのかな。どれもこれも太宰。そしてロマンチックですね。もう何もかもが退廃浪漫に彩られている気がします。私、ロマンチシストなので、結構その辺は好きよ。

というか太宰は女の狂気めいた部分をよく知っているな・・・。上原宛のかず子の手紙とか、怖すぎて途中で笑ってしまった。笑うしかなかった。あんなに真っ直ぐで歪んだ手紙、何で男が書けるの!!上原に惹かれるかず子の気持ちが分からなくもない。というか、今でこそ旦那でもない男の子供を生む、というのはよくある(というと語弊があるかも分からんが)内容ではあるけれど、当時にしてみればかなりセンセーショナルなものだったのではなかろうか。なんちゅうか、ロックやね、太宰。『斜陽』は難しい言葉が殆ど出て来なかったけど、太宰作品て大体そうなのかしら?

直治の気持ちがよく分かる私もどうなんだろうか。かず子の強さが私にも欲しい。お母さまは最期まで素敵だった。家族を大事にしようと思った。
【2006.10.24 Tuesday 00:19】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
町田 康 『つるつるの壺』 『耳そぎ饅頭』
つるつるの壺 耳そぎ饅頭

個人的には『耳そぎ饅頭』がツボをヒット!『つるつるの壺』は町田さんがいろんなところにちょいちょい書いたエッセイ(他作家の小説の解説も収録)がぎゅうぎゅうに詰め込んであるんだけど、『耳そぎ〜』は同じ雑誌に2年半連載されていたものをまとめてある本だから、話に繋がりがあるんです。一貫してテーマは「偏屈」。だから『耳そぎ〜』は読んでいて、次は一体どんな偏屈が見れるんだろう、と続きが気になって気になって。

でも『つるつる〜』も、雑誌によって趣の異なる内容を書いているものを1つにまとめているのだから、まとまりは無いかもしれないけれど町田さんのいろんな面を見ることが出来てそれもそれで楽しい。猫の話は思わずニヤニヤしてしまいました。

町田さんの本をこれまで9冊読んで、この前ライヴを見て思ったのだけど、町田さんはどの表現方法でも一貫して 人を楽しませたいんだろうなと思いました。 面白い物、凄い物を見せてやりたい、というか。
【2006.10.20 Friday 00:55】 author : sayako oki
| 本(活字等) | - | - |
 
著者近況
▼ようこそいらっしゃいました! こちらはフリーランス音楽ライター沖さやこによる個人ブログです。熱量を大事にしながら、嘘をつかずに文章を綴っています▼「本音で語る音楽人」をテーマに掲げた音楽系ウェブマガジン「ONE TONGUE MAGAZINE(ワンタンマガジン)」を運営しています。自主制作なのでお金は絡んでません▼書くお仕事頂けたらとても嬉しいです。詳細はプロフィールをご覧くださいませ

【動作確認】
・Google Chrome


管理者ページ



携帯電話閲覧
推薦作品
推薦作品
スペースシャワー列伝~宴~
スペースシャワー列伝~宴~ (JUGEMレビュー »)
オムニバス, MO’SOME TONEBENDER, NAHT, 怒髪天, fOUL, キセル, YOGURT-pooh
 
【エレキのグルー】にしびれていいかい
 
推薦作品
 (JUGEMレビュー »)

テンションだだ上がり
 
推薦作品