「音」楽に「専」らのめりこみ「満」足と「充」実を多視点から伝えるブログ
 
OOPARTS 2016 ライヴレポート


※2016年10月31日に書いたものです。

cinema staffの自主企画フェス「OOPARTS」が産声を上げて今年で4年目。岐阜で最大キャパを誇るライブハウス、CLUB-Gにて1ステージで開催されるというDIYなフェスは、観客に「フェス=楽しいもの、お祭り」以上の概念をもたらしていると思う。OOPARTSはこれまでにplenty、KEYTALK、the band apart、LOSTAGE、04 Limited Sazabysなど、若手からcinema staffと同世代のバンド、先輩にあたる大御所まで、毎回自分たちと縁のある様々なアーティストを招聘。チケットは毎年ソールドアウトしている。このラインナップを岐阜で届けているのは、cinema staffくらいではないだろうか。今年のOOPARTSは例年にも増してエッジーなバンドが揃い踏み。音響も爆音気味で、すべてのアクトでとにかくひたすら身体に轟音が刻み付けられていくようだった。

三島想平がこの日のために制作した楽曲とともに、彼の友人でもある岐阜のクリエイター、Scott Allen作のオープニングムービーが流れたあとは、トップバッターとして岐阜を中心に活動している地元バンド、Shift Controlが登場。一部メンバーはこれまでスタッフとしてOOPARTSを支えてきたが、4年目で出演権を得た。音楽性はハードコアでもあるがポップで、変拍子を織り交ぜた轟音ギターロック。静と動で激情を巻き起こす音像はcinema staffと通ずるものがある。とはいえ単なるフォロワーに留まっていないところに次世代の価値観が感じられた。OOPARTSに出演できたことを喜び「岐阜のバンドで良かった」と語るギターボーカル・浅野暢之の姿を見て、このイベントが岐阜の若手バンドにとって全国への登竜門となりつつあることを実感する。Shift Controlの面々は満員のCLUB-Gを目の前にし、舞い上がりながらも浮足立つことはなく、堂々と自分たちの音楽を鳴らしていた。岐阜の街自体も個々のカラーが強い自営店が活性しているが、それと同様に岐阜には媚びることなく自分たちの音楽を追求しているバンドが多い。それを強く印象付ける毅然としたフレッシュなステージだった。

2番手は、意外にも今回が初の岐阜ライブだという夜の本気ダンス。1曲目「Crazy Dancer」のイントロが鳴った途端、フロア前方に駆け寄る観客多数。ワンマンかと錯覚させるほどの熱気だ。もともとcinema staffはバンド名のイメージから彼らにいい印象を抱いていなかったらしいが、「ライブ見たら“お前らかっこいいやん”みたいに言うてくれはって」とドラムの鈴鹿秋斗が初対面のエピソードを明かす。彼が何度も「2016年10月22日がこんなにも素晴らしい日になるなんて思いもしなかった」と告げたあと、バンドは「WHERE?」「LOVE CONNECTION」とパワフルにエスコート。彼らの楽曲はどれにもハッピーと同時に胸をくすぐる切なさがある。その男性特有のロマンチシズムがコミカルでスマートだ。終盤は「Fuckin' so tired」「B!tch」「戦争」と定番曲を畳みかける。安定感のある演奏と華やかなパフォーマンスで観客のハートを手堅くキャッチ。インパクトの強いリフと太いボトムのダンス・ビートでトランス状態に陥らせ続けた。

cinema staffとも親交が深い3番手のtricotは、1曲目「節約家」からギターボーカル・中嶋イッキュウが曲中で「OOPARTS!」と笑顔で叫ぶなど、年に一度の祭典を祝す。摩訶不思議な変拍子、喜怒哀楽を一挙にぶつけるような暴動の轟音、色気のあるボーカルワーク。毎度のことながらこのコントラストに翻弄されてばかりだ。突き放すようでありつつも、同じタイミングで3人が手を振り上げるなど、キャッチーな側面があるところも小悪魔的である。中嶋はMCでトップバッターのShift Controlに触れ「岐阜にもいいバンドがいる」と新しいバンドとの出会いを喜んだ。途中、ギターのキダ・モティフォがステージにDelta Sleepのドラム・Blake Mostynや、cinema staffのギターボーカル・飯田瑞規とギター・辻 友貴を呼び寄せ、いまが旬の「PPAP」を引用した「ペンウィーダスン辻ペン(※ウィーダスン=飯田のニックネーム)」でさらに会場を沸かせる。「次いつ(岐阜に)来れるかわかりません。全部出し切って帰ります」と中嶋が告げ、ラストは「99.974℃」と「おやすみ」。盟友へのプレゼントのような愛溢れるステージに、固い絆を感じた。

4番手は辻が個人で運営するレーベル「Like a Fool Records」から昨年日本盤をリリースしたイギリスの4ピースマスロックバンド・Delta Sleep。OOPARTS初の海外アーティスト出演である。サウンドチェックからそのまま「コンニチハ、ゲンキデスカ?」とフロアに声を掛け1曲目の「16:40 AM」を演奏しはじめる。まずその一音一音の出す音の強さや厚みに面食らった。海外勢の身体能力あってこそ成し遂げられるものだろうか。ギターボーカル・Devin Yuceilは曲中の歌詞を「ニホンニ コレテ ウレシイゼー!」と変え、お茶目な人間性にフロアの緊張感もじょじょに解けていく。マスロックでありながらその展開に難解さを感じさせず、むしろこちらを音に揺蕩わせるような心地よさを生むところに、彼らが頭脳以上に本能的に無邪気に音楽を奏でているような印象を覚えた。MCでは辻への感謝を告げ、ラスト「So Say We All」の前には、英語で「この日のことを忘れない」と真摯に語る。純度120%の生粋の音楽フリークの作るアンサンブルに圧倒されてばかりだった。

後半戦、5番打者であるART-SCHOOLは、飯田と辻が学生時代にコピー・バンドをしていたくらい尊敬する存在だという。グランジ/オルタナを基盤にしたソリッドな楽曲で構成されたセットリストは、OOPARTS 2016の性質を汲んだうえで、現在の自分たちのモードが最も良く映えるものだった。「real love / slow dawn」「Promised Land」「夜の子供たち」と心臓を焚きつけるような轟音を鳴らし続け、「プール」では激しい音像で繊細な感情を紡ぎ出し、観客の意識や感情を掴み続ける。これはcinema staffにも受け継がれている姿勢やスピリットではないだろうか。ギターボーカルの木下理樹はMCで最後にcinema staffと競演したのがbloodthirsty butchersの吉村秀樹の追悼イベントだったことに触れ、個人的な気持ちではあるんだけどと前置きしながら「想いを受け取ってくれたらうれしい」とフロアに語り掛けた。「スカーレット」のひりついた集中力と焦燥感は美しく、ラストの「FADE TO BLACK」は全身の力と魂までも振り絞る熱演。雷のような鋭いアクトに、ロックバンドとはかくあるべきを見せつけられた気がした。

トリ前のアルカラはcinema staffの「シャドウ」をSEに登場。いきなりかましてくれる。「いびつな愛」でスタートしたライブは、嵐のような激しさを持ちつつも、人懐っこさやすべてを包み込むような優しさがあった。新曲「炒飯MUSIC」を披露したあと、フロントマンである稲村太佑が初めて岐阜でライブをしたことに触れ「cinema staffに誘われるまで(岐阜ライブの)処女を守ってきた」と会場を笑わす。途中M&M'Sのおもちゃを取り出すなど突飛な言動も魅力のひとつだが、この音圧でもしっかりと後ろまで伸びる彼のボーカルは相変わらずの安定感と存在感だ。「アブノーマルが足りない」「半径30cmの中を知らない」と強力ナンバーを立て続けに演奏すると、稲村がハンドマイクで「俺らの処女を奪ったのはシネマだけでなく(観客の)みんなもそうやからな! 責任取ってもらわな困るで」と叫ぶ。「テキトーにワーッてゆうて盛り上がる、それが責任の取り方や!」という主人公ばりの名台詞から「交差点」。最後までフロアを奔放に引っ掻き回して、「シャドウ」をBGMにしてステージを後にするというシュールなしめくくり。MCのネタ含め、cinema staffに華を持たせる、愛溢れる40分だった。

そして大トリとなるこの日の主役であるcinema staff。これだけの強豪が集うなか、プレッシャーも大きかっただろうが、1曲目「theme of us」から地に足をつけてどっしり構えた大きなステージングで快調な滑り出しだ。「想像力」「希望の残骸」と、ひりついていて溢れだしそうなぎりぎりのラインのスリリングな躍動感で、フロアと心を通わせるように音を発していく。飯田はMCで「2016年10月22日がこんなにも素晴らしい日になるなんて思いもしなかった」と夜の本気ダンスの鈴鹿の台詞を引用して観客を笑わせた。ドラムの久野洋平は出演したバンドの名演に対して「今回の面子はゴリゴリというか。次から次へと強いやつがくる(ドラゴンボールの)サイヤ人編みたい(笑)」と語り、飯田も「これだけのかっこいいバンドが自分たちのイベントに出てくれるのは心強い」と感謝を告げる。そしてアルカラの稲村が取り出したM&M'Sのおもちゃは、cinema staffと台湾ライブに行った際、空港で買ったものだというエピソードを明かし、「今日のために持って来てくれたんだよ!」と喜びを露にした。

だが続いての「望郷」で、飯田のイヤモニにトラブルが発生。途中で再度演奏し直すも、やはり思うように歌えなくなってしまう。辻はその様子をいち早く察し、飯田の近くに寄り、彼を励ますように笑顔を向けた。飯田が咄嗟にフロアに向かって「歌ってくれる?」と言うと、観客がシンガロングで彼らの音を支えた。「白い砂漠のマーチ」では三島も飯田の状況を鑑みてユニゾンで歌う場面も。久野はいつも以上にひたすら的確でエモーショナルなドラムを繰り出す。4人が力を合わせ、崩れそうになるのを阻止しながら走り続ける姿は、手に汗握るものだった。「最後まで全力でやります」と三島が言うと「exp」。トラブルを挽回するように集中力が漲った演奏は、「overground」で感情がすべてぐちゃぐちゃになり、大泣きしているような音へと姿を変えていた。前回のOOPARTSから今回までの約1年間の彼らの活動などを振り返ると、この日に様々な気持ちがとめどなく湧き上がることは必然だったと思う。

会場が一丸となってこの日を大団円へ導こうと奮起する様子は、これまでcinema staffが音楽活動で培ってきた信頼関係から生まれた愛そのものだった。もう岐阜という場所も、OOPARTSというイベントも、cinema staffだけではなく彼らを愛する人々にとっても特別な場所になっているのだ。もともと1本1本のライブや音楽制作に真摯に向き合うバンドであるが、これだけ彼らが様々な感情をさらけ出すことができるのは、OOPARTSだけだと思う。アンコールの「海について」の前、三島が言った。「僕たちがCLUB-Gに初めて出たのは18歳のときで、そのときに一緒に出ていた先輩たちは29歳で。僕らがいまその歳になり、これからは臆することなく僕たちが岐阜のみなさんに何かを提示できる――そういう年齢になったと思います。来年もやります」。この力強い言葉の理由は、彼に来年の青写真がある程度できているからだ。いままでの彼らは良くも悪くも、現在のことを考えることに集中していて、未来というものは理想や空想の世界だった。だがいま、その未来は現実味を帯びてきている。そしてそれは霧が晴れた真っ青な海のように広大で煌めいているのだ。来年のOOPARTS、どうやら例年とは一味も二味も違うものになりそうだ。もちろんcinema staffというバンドも同様だ。「歳をとった僕等はきっと凄く美しい。歳をとった僕等はきっと凄く楽しいよ。(「overground」より)」――この言葉がcinema staffの現実になる日もそう遠くはない。
【2017.07.31 Monday 14:42】 author : sayako oki
| 音樂(実演) | - | - |
2017年7月分担当記事リスト
◆DI:GA online
【ライヴレポート】
SPARTA LOCALS 高らかに鳴らされた「復活のファンファーレ」に興奮と熱狂が渦巻いた歓喜の夜!

◆BARKS
【対談記事】
デストロイはるきち(ミソッカス)×稲村太佑(アルカラ)、「人間味出していってなんぼ」

◆ニジ★スタ
【インタヴュー】
どこを輪切りにしても声優ー羽多野渉『ハートシグナル』リリースインタビュー(前編)
曲の持っているドラマをしっかり表現できたらー羽多野渉『ハートシグナル』リリースインタビュー(後編)
【イヴェントレポート】
木村良平営業部お酒担当とBBQで男前度を上げる!?社外研修ーKiramuneカンパニー#15 ロケ密着レポート

◆Skream! 2017年7月号(7/3発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
ねごと『DANCER IN THE HANABIRA』
Brian the Sun『SUNNY SIDE UP』
【ライヴレポート】
黒猫チェルシー@東京キネマ倶楽部
【ディスクレヴュー】
indigo la End『Crying End Roll』
アカシック『オレンジに塩コショウ』
Age Factory『RIVER』
【連載コラム】
・アブストラクト マイライフ vol.48
indigo la EndのEX THEATERワンマンライヴについて

◆skream.jp
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
indigo la End『Crying End Roll』
Bentham『Re: Wonder』
神様、僕は気づいてしまった『神様、僕は気づいてしまった』
ORESAMA『Trip Trip Trip』
【ライヴレポート】
a flood of circle@Zepp DiverCity TOKYO
鳴ル銅鑼/コヤマヒデカズ(CIVILIAN)/ハルカトミユキ@下北沢LIVEHOLIC

◆激ロック2017年7月号(7/10発行)
【ディスクレヴュー】
Fo'xTails『RULER GAME』
【2017.07.30 Sunday 14:40】 author : sayako oki
| 月別お仕事一覧 | - | - |
人生はアクシデントの連続
原稿を書いたあと、どんなことを書いたのかさっぱり忘れてしまう。もちろん心はこめて書いているし、めちゃくちゃ集中しているんだけど、書き上げた途端に頭から吹っ飛んでるんじゃないかと思うくらいの速度で記憶がなくなる。これはなんなんだろう。大丈夫なのかな。無責任なのかな? とか悩んだりもしてたんですけど、自己分析により「たぶんわたしにとって原稿を書き上げるというのは、そのときそのときの気持ちや思考、モードを封印するということなんだろうなあ」という結論に至りました。読み返して「これわたしが書いたのか。結構いいこと書いてるなあ。いまのわたしがこういうことを書けるかな?」と思ったりもする。ライバルはいつでも過去の自分ですね。

少し話は違うんだけど、感受性のピークは10代で、そのあとは下降すると言うじゃないですか。わたしも音楽業界に足を突っ込んだ25くらいのときにそれがすごく心配だったし怖かったんですけど、いい感じに三十路になったいまもあんまり衰えは感じていないんですよね。寧ろ25のときよりもよく考えるし、感度は上がっているような気がします。なんでだろうなあ、と思っていろいろ考えたけど、やっぱりいちばんは感受性が高いひとたちとよく接しているからなんじゃないかなと思っていて。そのひとたちのオーラから感じ取るものもいろいろあるし、そのひとたちに追いつきたいと思うから自然と自分のアンテナは磨くし、いいものを書きたいなと思うと自然と鍛えることにもなるし。

それも全部振り返ってみれば、なんですけど。鍛えるぞ〜!って思ったこともないし。もうわたしはライターになりたいという夢を7年前に叶えてしまったので、その先の道は特に目標を立ててるわけではないんですよね。将来に不安がないと言うと嘘になるけど、いまできることを精一杯やればいい感じになるんちゃうか、というぼんやりとした根拠のない自信と希望があって、なるようになれ〜と思っている。しいて言えば「いろんなひとと仕事したいからいろんなところで書きたい」というくらい。あとは母の夢である「CDのなかに入るライナーノーツを書く」ですかね。

初めてを経験するたびにひとは変わっていくんですよ。それが最高に面白いし、予期せぬ変わり方をしていくアクシデント性も含めてたのしい。だってわたし自分がライターになれると思ってなかったし。外資系の会社に入って27で結婚して子どもふたり産んで36で仕事復帰する予定だったんですよ。全然違うし笑 でもこれもこれでいいもんやなと思ってます。
【2017.07.02 Sunday 23:43】 author : sayako oki
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2017年6月分担当記事リスト
◆KERAフェス2017 オフィシャル案件
【ライヴレポート】
billboard JAPAN
ViSULOG
ROCK LYRIC
エンタメOVO
Yomerumo NEWS
antenna

◆ねごと オフィシャル案件
【ライヴレポート】
2017.6.26 ETERNALBEAT NIGHT@LIQUIDROOM ebisu w/Creepy Nuts
billboard JAPAN
OKMusic
Music Booster
LiveFans
エンタメOVO

◆Skream! 2017年6月号(6/1発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
BiSH『GiANT KiLLERS』(※表紙)
SHE'S『Awakening』
モーモールルギャバン『ヤンキーとKISS』
The Floor『ウェザー』
ゆるふわリムーブ『芽生』
さめざめ『東京ポルノ』
ORESAMA『ワンダードライブ』
【ライヴレポート】
ゲスの極み乙女。@Zepp Tokyo
Shout it Out@SHIBUYA O-WEST
Permanent vol.1@下北沢LIVEHOLIC
(act : ジラフポット/WOMCADOLE/KAKASHI)
【ディスクレヴュー】
ねごと『DANCER IN THE HANABIRA』
【連載コラム】
・アブストラクト マイライフ vol.47
わたしのGW振り返り〜go!go!vanillasのgo!go!の日の自主企画について

◆激ロック 2017年6月号(6/10発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
ナノ『The Crossing』
【ディスクレヴュー】
9mm Parabellum Bullet『サクリファイス』
DOG MONSTER『TOKYO, BLACK BERRY』

◆skream.jp
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
ねごと『DANCER IN THE HANABIRA』
Brian the Sun『SUNNY SIDE UP』

◆ニジ★スタ
【MV撮影密着レポート&インタヴュー】
デッキブラシで掃除をしながらダンス!――羽多野渉『ハートシグナル』MV撮影レポート(前編)
MV撮影中の羽多野さんへインタビュー!――羽多野渉『ハートシグナル』MV撮影レポート(後編)
【ライヴレポート】
“この1曲が最後だ”と思って全力で――『Kiramune Presents TETSUYA KAKIHARA LIVE TOUR 2017“DRUNKER”』レポート
【イヴェントレポート】
岡本信彦営業部員と乗馬にボルダリングで健康的に!――Kiramuneカンパニー#14 ロケ密着レポート
【2017.07.02 Sunday 02:19】 author : sayako oki
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夏と死と
もうすぐ夏ですね。みなさんにとって夏はどんな季節でしょうか。

夏は、ほかの季節に比べて、いろんな顔を持っていると思います。夏休みとか、イベントも多いしね。海水浴みたいな楽しみ方もあるし、夏祭りみたいな楽しみ方もあるし、ワンナイトラブ的な開放感もあるし。虫取りとか、アイスキャンディーとか、家で見る高校野球、扇風機、スイカ、風鈴、浴衣、屋台、神社、七夕、上げればきりがないけれど、インドアでもアウトドアでも、西洋風でも日本風でも、いろんな風情があると思います。

わたしにとって、夏は死の季節です。いちばんの理由は父親の命日が8月29日だからです。アスファルトの上で揺れる陽炎を見るたびに、父が亡くなったという報告の電話が来た日の残暑特有のきつい日差しと耳を劈くセミの鳴き声を思い出します。父とわたしの最期の会話は、わたしが父についた悪態でした。そのあとすぐに父は急病で入院し、面会ができないまま急逝しました。わたしは小学生でした。

してしまったことは仕方ないと思って生きている。でもそのことだけは、たぶん死ぬまで後悔するんだと思います。ちゃんと「ひどいことを言ってごめんなさい」と伝えたかった。夏が近づくたびに、父にひどいことを言ってしまったこと、謝れなかったことを悔やみます。

それに加えて、父親が他界した1995年は戦後50年でした。8月は8月15日、8月6日や8月9日など、戦争に関する事案が様々です。まだそのときは戦争を経験した方々から直接話を聞く機会も多く、小学校でも1学期から戦争のことをたくさん勉強し、学習発表会のように模造紙にまとめることも多かったです。あと8月はもともとお盆という習慣もある。わたしは夏に潜む死のにおいから逃れられなくなりました。じゃあ冬を楽しめばいいと思うでしょう? でも2009年のクリスマスイヴに尊敬する音楽家が他界していて、1997年のクリスマスに慕っていたひとが他界しているんです、困っちゃいますよね。でもそれがわたしの業――と言うと大袈裟かもしれないけど、背負わないといけないことなんだろうなと思います。

母親とリニア新幹線のことを話していて、わたしが「名古屋まで開通するのが10年後で、大阪までつながるのが早くて20年後らしい」と言うと、母は「20年後は生きてないだろうなあ」と笑いました。大人になればなるほど死のにおいが濃くなってきて、わたしは自分が死ぬことよりも、好きなひとたちが周りから少しずついなくなることが怖いなと思うようになりました。

なんか暗い話になっちゃったけど、裏を返せば夏は「自分がどう生きていきたいか」に向き合う機会が多いということでもあります。だから20代のときより夏が好きになれていると思う。10代とか二十歳すぎくらいまではビッグネームになってやるとか、超売れっ子になってやるとか、ばりばりキャリアウーマンになってやるとかみんなから一目置かれるような存在になりたいとか思ってたけど、最近は大事なひとやものを大事にできたら、もうそれでいいかなと思うのでありました。今日も原稿がんばるまん
【2017.06.25 Sunday 14:34】 author : sayako oki
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帰り道
先月から元気がない日が続いていて、ライヴに行ったり、誰かと飲んだり遊んだりしては楽しい気分になるけど、帰り道に落ち込んだり、好きな音楽に逃げ込んだり。現実が怖くて眠れない日が続いていたかと思えば、今度は現実逃避で過眠になったり。どうしようもない日々を過ごしていました。

だけど今日、もう付き合いの長くなったバンドにインタヴューをしていて、何があったというわけではないけど、憑き物がほろほろと枯れていくように、帰り道の小田急線で、いま少しずつ元気が湧いてきてる感じがします。

特にわたしがインタヴュアーとしてやったったでーという手ごたえがあったわけでもない。強いて言えば少々難しめのフロントマンの機嫌が良くて、メンバーがいい話を聞かせてくれたという、とてもシンプルなことでした。だけどそのことが、ただ漠然とこれからもわたしはやれる気がする、生きていける気がする、と思わせてくれました。

まあ読んでるひとにしてみればなんのこっちゃって感じだと思うし、わたしも書いててなんのこっちゃやけど笑 くよくよしてられない。そうナチュラルに思えたのです。

精神的に滅入ってるときってそういうシンプルで当たり前のことが受け入れられなかったりするじゃないですか。ずっと「くよくよしててかっこ悪い、ダサい、さっさと元気にならなあかん」と自分に言い聞かせてきたし、無理矢理自分をそこに持っていこうとしていた。でも全然心がどうにもそっちに向かなくて、頭ではわかっているのに心が言うことをきかないことに苦しんでいました。

だけどくよくよしてるメンタルの奥の奥にある光が、ようやく反応してくれました。たぶんあの場の空気がそうさせてくれたのだと思う。だから彼らにありがとう〜という気持ちです。勝手に。

帰って原稿書いて、そのあとエアロバイク漕ご。
【2017.06.19 Monday 17:46】 author : sayako oki
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椅子
よく「本名ですか?」と訊かれますが戸籍上の名前です。自分の名前はものすごく好きなので、めっちゃ当たる占いの先生から「沖 サヤコで活動したほうが売れる」と言われても、いやだと逆らいました。そのおかげかライター歴7年になってもなお売れておりませんが、自分が好きだと思える文章は書けているし、もっとインタヴューも文章も上達したい気持ちもすごく強いし、一応ぎりぎりとはいえライター一本で生活しているので、まあいいかなと思っています。何よりこの名前で活動できていることがうれしい。いい名前だと思う。名前負けしてる気もするけど。

ネームバリューがなくて売り込みもしていないのにここまでやってこれたのは文章が認めてもらえたからだと思うし、なによりネームバリューではなくちゃんと文章を見て認めてくださった方々がいらっしゃるからです。それはわたしにとって誇りなのです。

今日我が家にオフィスチェアが届きました。愛しのマイメンからの誕生日プレゼントです。これまでずっと学習椅子のようなものを使っていて、骨盤のあたりや肩甲骨のあたりを支えてくれる背もたれのある椅子が欲しいなと思い始めたのが3年くらい前。腱鞘炎が悪化したあたりからですね。まず対策としてキーボードを叩く腕を置くスペースのある机を買ったんですけど、椅子まで一緒に買うお金がなく……。でもいつか買えたらなあと思っていました。
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【2017.06.08 Thursday 01:23】 author : sayako oki
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2017年5月分担当記事リスト
◆DI:GA online
【ライヴレポート】
空想委員会『デフォルメの青写真』リリース記念ワンマン、ライブレポート!自信みなぎるライブの熱量から、6月1日スタートのツアーへの期待は高まるばかり!

◆BARKS
【対談記事】
デストロイはるきち(ミソッカス)×柴田隆浩(忘れらんねえよ)、「テンプレがハマるバンドじゃなかった(笑)」

◆Skream! 2017年5月号(5/1発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
HOWL BE QUIET『Mr. HOLIC』(※表紙)
MAGIC OF LiFE『線香花火/乱舞ランデブー』
LOCAL CONNECT『スターライト』
九十九『GIRL MEETS BOY』
【ライヴレポート】
HOWL BE QUIET@赤坂BLITZ
ねごと@Zepp DiverCity TOKYO
SHE'S@赤坂BLITZ
【ディスクレヴュー】
ゲスの極み乙女。『達磨林檎』
【連載コラム】
・アブストラクト マイライフ vol.46
HOWL BE QUIET『Mr. HOLIC』について

◆Skream! 別冊 SpecialThanks特集号(5/1発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
SpecialThanks『ANTHEM』

◆激ロック 2017年5月号(5/10発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
アシュラシンドローム『次回予告 俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』
【ディスクレヴュー】
9mm Parabellum Bullet『BABEL』
バンドハラスメント『エンドロール』

◆skream.jp
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
モーモールルギャバン『ヤンキーとKISS』
ORESAMA『ワンダードライブ』
【ライヴレポート】
Permanent vol.1@下北沢LIVEHOLIC
(act : ジラフポット/WOMCADOLE/KAKASHI)

◆ニジ★スタ
【インタヴュー】
・夏代孝明『トランジット』(前編後編
・佐伯ユウスケ『タカイトコロ』(前編後編
【イヴェントレポート】
海外事業部長・柿原徹也を迎え、社内親睦会!お酒、卓球、ランドセル!?――Kiramuneカンパニー#13 ロケ密着レポート
【2017.05.31 Wednesday 00:01】 author : sayako oki
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DI:GA onlineさんでレポートを書きました
空想委員会『デフォルメの青写真』リリース記念ワンマン、ライブレポート!自信みなぎるライブの熱量から、6月1日スタートのツアーへの期待は高まるばかり!
http://www.diskgarage.com/digaonline/liverepo/38668

DI:GA onlineさんにて空想委員会の『デフォルメの青写真』リリース記念ワンマンのレポートを書きました。実はこのライヴはレポートで行ったわけではなくて、普通に観に行っただけでした。終演後にメンバーに挨拶をしたとき、委員長から「今日はレポートはあるんですか?」と訊かれ、「今日は頼まれていないんですよ」と返すと、「まじかー!」とみなさん残念がってくださって、うれしい気持ちと申し訳ない気持ちとの両方でした。

読者さんからも「レポートたのしみです」というコメントをいただいたりもしたし、おまけにすごくいいライヴだったので、これはブログかワンタンマガジンのコラムか何かしら文章に残したいな〜と思っていて。そんなところに、レーベルさんから「DI:GA onlineさんでレポートを書いていただけないだろうか」という打診がありました。うれしい!! でもレポートで行ったわけではなかったため何もメモってなかったから、メンバーがどこで何をしたとか、メンバーがどこで何を喋ったかが正確にわからない!!! その旨をご相談すると、特別に定点映像をお借りすることになりました。ちなみに普通のレポートではそんなことしませんよ。ちょっと反則技だと後ろめたさを感じつつ……。

わたしはいつもメモに、どの曲でどういうことを感じたかを細かく書いて、そのメモを参考にしてセトリに合わせて音源を聴いて当時の気持ちを呼び起こして文章に落とし込むので、このレポートに関しては完全に余韻のなかで書いていく作業でした。初めてお仕事させていただく媒体さんで初めてのことに挑戦するのは不安もあったんだけど、結果的には(映像のおかげもあり)自分の伝えたいことも90%は落とし込めたかなと思います。



空想委員会は「楽しい」の一歩先の感動を作れるバンドになってきています。もともと「エリクサー中毒患者」とか、ああいうミディアムナンバーでめちゃめちゃエモくなるタイプのバンドだから、最近のスタイルはバンドの本質的な部分が明るみになっているのかなとも思います。本編を『デフォルメの青写真』の曲のみにして、おまけに曲順はアルバムとは違うもの、という時点でかなりクリエイティヴなのに、それに加えて音楽を主役にして演奏でもって魅せるステージ展開というところも高ポイントです。

ディスるわけじゃないんだけど、最近はここで手拍子煽ってとか、ここでお客さんに声を出させてとか、ここで人を感動させるようなMCをして〜……みたいに、演出だけがうまいバンドが増えてるのがつまらないなあと思っていて。もちろん演出は大事なんですけど、演出に頼り切って演奏の熱量が疎かなライヴは面白くないなと、これまでいろいろライヴを観てきて思います。

空想委員会が自分たちの本質をステージへ投影できたのは、『デフォルメの青写真』というアルバムを作ったから、『デフォルメの青写真』の曲たちだから、という理由もあるのかなと思いました。それだけ大きなアルバムだと思う。あのアルバムの曲は、3人にとって全曲が自分の曲にちゃんとなってると思うんですよ。全曲が空想委員会の曲であり、三浦隆一の曲であり、佐々木直也の曲であり、岡田典之の曲である。それってロックバンドにとって大事なことだと思うんですよね。

セットリストの曲数は普段よりも少ないとはいえ、ちゃんとすべてに意志が通っていたので、いままで観た空想委員会のライヴのなかでわたしはいちばん満足度が高かったなあ。こんなライヴできるバンドになったんだな!! という感慨深さもあったと思います(偉そうですみません)(謎の親目線)(良くも悪くも恋する乙女要素が皆無)(どうしてもおかん)(もしくはヒーローに憧れる童貞男子)。

「空想ディスコ」をやらなかったところは必殺技に頼らなくてもいいライヴ見せてやるぜ! という気合いが感じられて、かっこいいじゃないか〜と思いました。「スタートシグナル」でギターを一心不乱にかき鳴らして、メガネを落としても集中力を切らすことなく演奏しきった委員長はめちゃくちゃかっこよかったし、最後に「メガネメガネ」な感じでメガネを探す姿も可愛らしかった笑



委員長は普段とてもクールなので、わたしが話しかけても結構素っ気なかったりするんです。あんまり目も合わせてくれない気がする笑 だからいままで文章を褒めてもらったこととかもないんですけど、この記事を拡散してくださったときのツイートを見て、ああこんなふうに思ってくださっていたんだなあと驚いたし、とてもうれしかったです。大事なバンドが増えていけばいくほど、どんどん手一杯になっちゃってる自分を責める日々ですが、委員長からわたしが無意識のうちにしていたことを、いいところだと教えていただいたような気がしました。

あと、DI:GA onlineさんで書けたことは、本当に本当にうれしいんですよね! 冊子のDI:GAは10代の頃から帰りの電車のお友達だったし、onlineのほうも文字サイズや写真が大きめで読みやすいし、ライターさんのカラーが出た記事が多い(おまけにネットでよくある感じの斬新な切り口風とかじゃなくて、古き良き商業誌的な落ち着いたアプローチなのがすごくいいなと思っていた)ので、いつか書ける日が来たらいいな……と思っていました。そんな機会をいただけたことも本当にうれしいしありがたいです。病的なまでに引っ込み思案のわたしが編集者さんに「また是非お仕事させていただけたらうれしいです!」とお手紙に書いちゃうくらい笑 本当にうれしいのです。

いまの空想委員会、超いい感じですよ。昔聴いていたひとも、名前は知っていて曲もちらほら知っているというひとも、いま彼らの表現に触れてみるのをおすすめします。ワンマンツアーは来月からスタートします。
【2017.05.24 Wednesday 01:47】 author : sayako oki
| 閑話/寫眞/取材記 | - | - |
2017年4月分担当記事リスト
◆空想委員会オフィシャル案件
【ライヴレポート】
2017.4.5 LINE LIVE「空想委員会 LIVE at SEKIGUCHIDAI ST.」
T-SITE NEWS
日刊エンタメクリップ
UtaTen
LiveFans
エンタメウィーク

◆BARKS
【インタヴュー】
MYNAME、“初めまして”から始まる絆の物語「出会いあいして」

◆Skream! 2017年4月号(4/3発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
空想委員会『デフォルメの青写真』
ヤバイTシャツ屋さん『どうぶつえんツアー』
ONIGAWARA『ヒットチャートをねらえ!』
赤色のグリッター『セツナ』
岸田教団&THE明星ロケッツ『LIVE YOUR LIFE』
【特集記事】
Bentham『激しい雨/ファンファーレ』
あゆみくりかまき『ゴマスリッパー』
【ライヴレポート】
ユビキタス@渋谷WWW
【ディスクレヴュー】
LOCAL CONNECT『スターライト』
【連載コラム】
・アブストラクト マイライフ vol.45
「マチルダにおねがい」というバンドに出会いました

◆Skream! 別冊 あゆみくりかまき特集号(4/3発行)
【インタヴュー&ディスクレヴュー】
あゆみくりかまき『ゴマスリッパー』

◆skream.jp
【ライヴレポート】
HOWL BE QUIET@赤坂BLITZ

◆ニジ★スタ
【インタヴュー】
・羽多野渉 全国ツアー振り返り独占インタビュー(前編後編
【イヴェントレポート】
吉野裕行が大暴走!そして西明日香に新しいあだ名も!?ーニジ★ステーション!! vol.4 レポート
シーズン2突入!社長・浪川大輔社長と秘書・吉野裕行のお台場社外研修ーKiramuneカンパニー#12ロケ密着レポート
【2017.04.30 Sunday 00:43】 author : sayako oki
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著者近況
▼ようこそいらっしゃいました! こちらはフリーランス音楽ライター沖さやこによる個人ブログです。熱量を大事にしながら、嘘をつかずに文章を綴っています▼「本音で語る音楽人」をテーマに掲げた音楽系ウェブマガジン「ONE TONGUE MAGAZINE(ワンタンマガジン)」を運営しています。自主制作なのでお金は絡んでません▼書くお仕事頂けたらとても嬉しいです。詳細はプロフィールをご覧くださいませ

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