「音」楽に「専」らのめりこみ「満」足と「充」実を多視点から伝えるブログ
 
2014年8月21日 小高芳太朗 路上弾き語り
8月21日はボビー湯浅さんの命日。ボビーさんとは、LUNKHEADの事務所の社長さん。LUNKHEADのために独立して、会社を30代前半で立ち上げたそうです。その命日に、LUNKHEADの小高さんが「いつもの場所」で弾き語りをするのが、毎年恒例になってきています。

事前告知は小高さんのツイッターの「明日はボビーの命日なので、明日の今ぐらいからいつもの場所でまた歌おうと思ってます。」だけでした。けど、たぶん80人くらいの人が集まってたんじゃないかなあ……? 壮さんも合田さんも、ニコルズのだいすけさんもいらしてました。

そのときの様子


黒いシャツに黒いパンツの小高さん。やっぱ黒似合うなーなんて思いつつ、わたしは目立たない場所で見てようと思ったのに、人がいないところを避けた結果ドセン2列目というとんでもない場所に……。まずレモンチューハイを観客(たぶんランクヘッドと仲のいいDJさん)から渡された小高さんはそのレモンチューハイで献杯(※小高さんのツイッターに上がってた写真がそれです)。なぜレモンチューハイかというと、ボビーさんはお酒がそれほどお得意ではなくて、打ち上げで飲むのが必ずレモンサワーだったから。
まずは「眠る前」で弾き語りがスタート。優しく爪弾かれるイントロのギターで、涙腺が緩む。小高さんが心をちぎってそれをひとつひとつの音にしているような気がしたんですよね。目を閉じて歌う小高さんが「夜空」という言葉を歌うときに、ちょっと空を見上げるところが、ボビーさんのことを考えてるのかなーと考えたり。最初はしんみりモードの観客たちに、小高さんは「拍手が小さい!笑」と一言。それで少し、観客の肩の力が抜けた感じ。

1曲歌っただけで「汗がすごい」と小高さん。確かにこの日はとても暑くて、立っているだけでもじわじわと汗が滲んできました。次々とお客さんからレモンチューハイを渡され「こんなに飲めないよ〜」と笑わせる。1曲1曲丁寧に演奏して、ボビーさんの思い出話をしたり、【グッド・バイ】という曲はボビーさんと一緒に直球を立ち上げたかたが心の病で命を絶ってしまったのを受けて作った曲で、ボビーさんは急病でお亡くなりになったとはいえ「ボビーと二重の意味になっちゃったよ」と語り、【月と手のひら】はボビーさんの娘さんが生まれたときに作った歌で、ボビーさんの娘さんはどうやらものすごい美少女らしくて「うちの子もあんな風に育ってもらいたいんやけど、どんどん俺に似ていくんすよね〜……」とちょっとがっかりする小高さんに観客からは笑いが漏れたり。小高さんもお客さんも、レモンチューハイを飲みながら。

小高さんの弾き語りはとても素敵でした。変な言いかたかもしれないけど、タダでライヴを観るのが日常茶飯事になっているわたしが、これを無料で観れていいのかなと思った。やっぱり小高さんは、それだけ魅せられる「アーティスト」なんだなと思った。あと、あの場は、距離も近いけど、すごく心が近かった。近くで見ていたお客さんはみんな小高さんのことを信頼しているし、小高さんも目の前にいるわたしたちに音と歌を届けて、その向こう側にいるボビーさんに届けようとしてた。こんなにお前のこと思ってくれてる人たちがいるんだぞーと、天に向かって届けているようで、とても優しくてあたたかい音色だったな。

【月と手のひら】のあと、急に4弦が切れてしまって「アコギの弦切ったことなんてないのに!」と動揺する小高さん。切れた弦を張りなおすようなしぐさで引っ張ってくっつけようとするもくっつくわけもなく……。通りがかった壮さんに「山ちゃんギター持ってない?」と訊いたり、お客さんに「誰か弦持ってる人いない?」と言うも、誰も持っておらず、そのまま弾くことに。そのあとに演奏された新曲はメロディのセンスが跳ね上がっている、すべてを飲み込んでしまうような包容力がある曲でした。

「謎の新曲でしたー」とちょっぴり照れながら曲紹介をした小高さんは、時計を見て、「そろそろいい時間ですね」と予定していた残りの4曲を省き「これだけは演奏したい」と【僕と樹】へ。その途中、いきなり「時空が歪む! 電車の音がうるさいですね。4弦が欲しい……」と言い演奏ストップで、「最初からやらしてもらってもいいですか」と再び演奏。この演奏が素晴らしかった。時空のゆがみすら食い止める、鳴らない4弦の音以上のものを鳴らす、あんな【僕と樹】が聴けること、この先あるのかな……と思う気魄でした。それまでは雑踏も電車の音も楽器のひとつにするように演奏していた小高さんが、とにかく音のなかに入り込んで、周りの雑音を全部かき消すようにギターをかき鳴らして歌っていた。その姿は肉と骨の器というよりは心の奥そのもののようだったし、勇敢だったし、とても美しかったです。こんな小高さんを見せてくれたのは、ボビーさんの仕業かな? 弦を切ったのはボビーさんかも。なんて思ったりして。

終わったあとに隙を見て小高さんに話し掛けました。お会いするのは3回目か。リキッドぶりだったので9ヶ月ぶりくらい。わたしが興奮気味に「超良かったです」と伝えると、4弦が切れてちゃんと演奏できなかったことをすごく悔やんでらっしゃった。でもわたしはとても貴重な瞬間に立ち合えたなと思っています。強いまなざしで遠くを見て「ぜってぇ来年リベンジする」とおっしゃってました。また来年、いつもの場所で小高さんの歌が聴けたらいいな。これはきっと、ほかのお客さんもボビーさんも、同じ気持ちじゃないかな、と思います。

セットリスト
(※ファンのかたのツイートを参照しています)

01 眠る前
02 僕と君が不完全な理由
03 三月
04 グッド・バイ
05 歌いたい
06 月の城
07 はるなつあきふゆはる
08 音の無い部屋
09 どうせなら
10 月と手のひら
11 (新曲)
12 僕と樹
【2014.08.29 Friday 16:26】 author : sayako oki
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著者近況
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