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HARMONIA JAM × 音専満充 【mothercoat interview】(4/5)
mothercoat interview
埼玉県深谷市で育まれる、より深い音楽生活
−続けることと極めること−

生涯掛けてロックというジャンルにおいての発明をしたい


昨年完成した新譜『Allergies』
■『Allergies』は和光にお住まいのときにお録りになったんですよね。今回はミックスがFernando Lodeiro(Vampire Weekend、Paul McCartney、Franz Ferdinand、Arctic Monkeysなどを手がけるエンジニア)、マスタリングがOscar Zambrano(Zampal Productions)の手によるもので、どちらもニューヨークで行われたとのことですが。ずっとセルフでやってらっしゃった皆さんが、今回初めて他者の手を入れたのは何故でしょうか。

ギガ:エンジニアから急にメールが来たのがキッカケです。技術的にも機材的にも音源において足りてない部分を自分たちは気付いていて、その上でそれをどんどん良くしていこうという作業をずっと自分たちでしてきてたんですね。そのときに「僕は優秀なプロのエンジニアだ。僕がやれば最高の作品になる」という、アメリカンらしいハッキリしたメールが来て「ああ、付け込まれたな……」と(笑)。それもあって「1回勉強してみようかな、どれぐらい変わるんだろう」と思ってお願いしました。そのときレコーディングもしてたから、自分たちでやる予定で進んでたものを途中で向こうに丸投げして。その結果学んだ点が多くて。

■例えば?

ギガ:音ですね。多くの人が聴いても聴ける、ある一定の(クオリティの)音というか。ただ僕らはクセのある音が凄く好きなので、変に綺麗な音を望んでるわけでもない。でも……何て言うのかな。これは伝えるのは難しいんだけど。

トキ:音は音源でもライヴハウスでも自分たちなりにこだわりを持ってやっていることで、そのときそのときが最高だと思って作っているんです。「お金を掛けた機材だからいい」というものでもなくて、自分たちなりの制約の中で、いろんな音を聴いて研究して、実験しながら作り上げてきた音なんだけど。ライヴハウスでDJが大音量で流したりしたときみたいに後で冷静になったときに聴くと「あれ?」って。

ギガ:「だいぶ面白い音してんなぁ」と。それが僕らの強みでもあったんだけど。

トキ:そうそうそう。そこである一定のラインを超えた上で遊んでいる余裕というよりは、足りてないながらに独特で面白くなっている部分のほうが強いんじゃないかと思って。

ギガ:「そこが足りてないのは実は分かってるんだ」という自己認識はあったので、それを補ってくれているのは音に顕著に出てる。そう思う反面、他者ゆえにセンスの違いもあって「これが僕たちの音なのか?」という違和感があるのも事実。だからこれを踏まえて次の作品に取り組めることが大きな経験になりました。




■前作の『egobag』はヒリヒリする部分を感じることが多かったので『Allergies』はポップに響いてくる気がしました。

ギガ:うん、なんか明るい。エンジニアがもう明るいんだよね(笑)。

トキ:自分たちは面白いことをしている自負があった。でも自分たちが本当に凄いと思うアーティストは、安定感のある音で、それと同時に個性や面白さがあるという、絶対的に凄い音をしてるんです。だから『Allergies』の音作りに関しては“独創的”なものを出し切れたわけではなかったけれど、今回の経験はその両方をいいところに次で高めていく上で必要なところに届くための1つの指標、架け橋になったと思います。次はそうしなきゃいけないプレッシャーもありますね。

■mothercoatの音楽には知的なプログレ的要素と、感情が爆発するような衝動的な要素の振り幅があると思うのですが、そういうバランスは意識してらっしゃるのですか?

トキ:1曲1曲作る中では特にないんですけど、「あんまりこういう曲はわたしたちにないよね」と曲作りをすることはあるので、「やってないことをやってみよう」というのが全体のバランスに繋がることは結果としてはあるのかもしれないです。でも感情がぶつかるような曲は実際ぶつけて出来るので、そういうのは考えて作るものでもないから……という意味では考えてないというか(笑)。

■「何でここでこんなリズムになるんだろう?」「どうしてここでこんな音が出てくるんだろう?」と思うんですよね。そういう音やリズムが飛び道具のように出てくるのは何故でしょう?

ギガ:んー、それは僕たちにも分からない(笑)。本当によく訊かれるんだけど。

トキ:後から「これどうして出来たんだろうね?」って曲もあるもんね。

■ジャムセッションのような感覚もありますよね。楽譜の中だけでなく、その場でのフィーリングで音が出来るものがあるんで。あと、楽器ひとつひとつの音が立っているのも大きいと思います。

ギガ:日本のいわゆる“バンドサウンド”の録り方じゃないからかもしれないです。……洋楽のバンドは全然サウンドの作り方が違うんですよね。日本のバンドは“ごちゃーん”とした一体感の中に、ヴォーカルをちゃんと上に乗せる感覚で音を作っているものが多いんだけど、僕らはヴォーカルもギターも、キック、スネア、ベース全部同列の存在として録りたいし出したいから……なのかな。違いは。

トキ:これじゃなきゃいけないという決め付けもないし、毎回自分たちの足元を崩してかかるような感じなんです。何かをやろうとしたときに「その感じは前にやったからもういいよ」っていうツッコミがメンバー間で入ることもあったりして。

ギガ:飽きっぽいんですよね(笑)。「この前のあれが良かったから、またやろうか」という気にはなれないし。僕は、生涯掛けてロックというジャンルにおいての発明をしたいという思いが強くあるんです。自分がロックにびっくりしてきたように、自分も自分の音楽でびっくりしたい。でもこれだけ音楽がたくさんやられてきているから、そんなことがあるのか? と思うんだけど……こだわりと言えばそこかな。ずっと制作をしていれば、ある日突然それが出来るんじゃないか? 「その手があったか!」と思えるときが来るんじゃないか……そのためにずっと作り続けているかもしれない。




■『Allergies』というタイトルの由来は?

ギガ:タイトルはいつも最後につけるんですけど。タイトル会議があって。

トキ:何個候補を出したか分からないです。みんなで散々出して「ビシッとくるのないねぇ」と言ってたら、このタイトルが最後に出て、全員が「これならいいよ」と思えたんです。決め手になった理由は分かんないんだけど、集まった楽曲を見たときに“Allergies”という言葉が1番しっくりきた。

■“アレルギー”はよく聞く言葉ですけど、異物感のある言葉ですよね。

トキ:そうですね。“異物感”という言葉はmothercoatを表すにあたって非常にしっくりきます。

ギガ:ネガティヴな言葉なんだけどね。でも……なんかいいですよね。mothercoat聴いてブツブツとか出れば(笑)。体にそういう変な反応が出ちゃうような存在でありたいし、そういう音楽でありたいですね。


【2013.03.30 Saturday 20:31】 author : sayako oki
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