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HARMONIA JAM × 音専満充 【mothercoat interview】(1/5)
mothercoat interview
埼玉県深谷市で育まれる、より深い音楽生活
−続けることと極めること−

音楽を続けるための方法はたくさんある


mothercoatのプライヴェートスタジオ“凡人スタジオ”
※2012年8月当時
■2012年の5月に埼玉県の和光市から深谷市に拠点を移したんですよね。

トキロック(以下トキ):3人は前も和光市で同じ屋根の下で暮らしていたんですが、前々から「家でドラムを叩ける環境に暮らしたい」と思っていて。あと、わたしたちはツアーがあまりにも多いので、東京に住んでいることに意味がなくなってきたんです。場所を定めずに古民家をインターネットで探し始めたのが2011年。なかなかこれっていう物件に巡りあえなくて……というときにこの物件が、2012年になってから、ポッと見つかって。

ギガディラン(以下ギガ):都内でお金を払ってスタジオに入ると、時間に制限が出てくるので、制作をはしょらざるを得ないところもあったんです。でも「もっと深く音楽をやりたい」という願いが叶えられる、思い描いてた形になりました。




周囲は田んぼと畑、目の前には市場がある

■以前お話を伺ったときに、深谷に移る前と移った後では「スタイルが変わる」とおっしゃっていましたが具体的にはどのような変化でしょうか。

ギガ:“ここで制作をして、あとはほとんどツアーに出る”というスタイルですね。深谷に移るまでは音楽作品を作る上で試したいことがいっぱいあるのに、試せる環境がなかったんです。創作のアイディアはたくさんあるのに、時間だけがずっと足りなかった。東京で高い家賃を払いながらバイトをする生活をしているとそれが当たり前な感覚になっちゃうけど……1回考え方をフラットにしたんです。「まず何がしたい?」「僕たちは音楽を作りたい」だからそのために必要な場所を手に入れた。「そこで生活するにはどういう風にやっていけばいいか?」ということだけを考えられるようになったんです。「食べられればいいな」という考えから、家庭菜園を作り始めました。

■畑作りと音楽制作は通ずるものはありますか?

トキ:まだまだ作品に反映する段階ではないけれど、土をいじったり、植物の成長に触れたりしてると、いろいろ思うことはあるんです。1日目にはとても小さかったアスパラが、翌日にはこんなに(と言って親指と人差し指を大きく開く)になってたり。何もしてないのにかぼちゃがある日突然出来てたり。凄く小さい雑草が引っ張ってみると根がすごく深かったり……。知らなかったことを人間社会に例えて考えることもあって。今後歌詞などに出てくるのは容易に想像が出来ますね。

■価値観が変わりましたか?

ギガ:そこまで大げさなことではないけど、新しい感覚は生まれるよね。虫とかも含めて。うちはクモが凄くて、たくさん巣を作っちゃうから来たときは全部除去したんです。でも最近はかわいくて(笑)。他の虫を食べてくれますからね。「ここは張っていいよ」って場所を作ってあげると「ここはだめなんだ、じゃあこっちにしよう」とクモも巣を作る場所を覚えるんです。

トキ:最初は嫌がっていたクモが、役に立つし、便利で、ありがたい存在になりました。発見はたくさんありますね。




家の裏の菜園。ネギ、ナスやアスパラガス、カボチャなどが育っていた

■スタジオの広さはどれぐらいでしょうか。

ギガ:フロアが8畳で、音を出すPAブースのようなシステムがある場所が4畳半ないくらいです。間に壁があるんだけど、追々そこも大家さんの許可取ってぶち壊そうと思ってます。(※2012年の末に予定通り壁を壊し、現在はフロアが約18畳のレコーディング、ミックスルームが約4畳半に)

■理想的な場所が見つかって、実際そこに移っていかがですか?

トキ:さっきも他のメンバーが音出してたの聴こえてましたよね? あんな凄い音を出していても周りの人が寛容なんです。都会では音楽をちょっと大きな音で聴くだけで「うるさい」って意識しか生まれないと思うんですけど、この辺の人はちょっと面白がってくれるんですよね。興味を持って見に来る人もいたりして(笑)。自分たちも気持ちよくやれるし、本当に助かってるしありがたいことです。自分たちも地域で出来ることは積極的にやりたいと思えてるので、本当にここで良かったです。

■音楽に深く携わりたいから今の環境を手に入れたわけですが、その“深く携わる”という思いは、どういう感情から来るものなのでしょうか。

ギガ:今までの日本の音楽業界は、契約枚数があって、そのために制作して、高いスタジオを○日から△日まで押さえたのでそれまでにプリプロ作って、そこでレコーディング入って……“商品を作る”サイクルの中に組み込まれることが主流というか、大半で。でも海外では一軒家を借りて、そこで制作をする。だから海外のアーティストはアルバムに2年、遅ければもっと、4年振りなんて普通にあるぐらい、本当に大きなサイクルで制作していますよね。その中でいろんなことを試して、成功と失敗を繰り返しながら出せている作品はたくさんあるんです。“商品”を売る人じゃなく、作り手の願望をフルで出来る環境が日本にはあんまりないと僕は感じていたので、自分たちでやっちゃうわけだけど。人が関わるといろんな制約が出来ちゃうんで。

トキ:これまでも失敗したことはあったけれど、それを経てこういう方向に進んでいると思います。商業的なところやメジャーとは縁がなかったのもあるけれど「好きなように音楽を作りたい」という思いから音にこだわり始めた。都会でお金を払ってスタジオを借りるのは限界があるので「自分たちで実験出来る環境があったほうがいいね」と考えるようになった。その結果“普通”と言われる流れとは違うものに自然となっていきました。

ギガ:若い子たちに、ひとつのやり方として希望を見せてあげたかったのもあります。僕たちが好き放題やって生活出来ていれば、それはひとつの希望の形になるんじゃないかと思ったんです。何かに属した結果「本当はこういうのやりたいんだけど、方針だから仕方ない」と割り切って音楽活動をする子たちも多いんですよね。それで解散しちゃうバンドや、30歳前後になるといろいろ考えてバンドをやめてしまったり。だから「そういうやり方だけじゃないんだよ、こういうやり方もあるんだよ」という方法をひとつ提示出来ればないいと思ったんです。音楽を続けるための方法はたくさんあるんですよね。


【2013.03.27 Wednesday 18:23】 author : sayako oki
| interview | comments(2) | trackbacks(0) |
この記事に関するコメント
御無沙汰してます

古い固定観念や業界の常識にみんな囚われてるんだなあ、と改めて感じました

普段そういう同僚をからかっているので、比較的自由な身とはいえ、mothercoatのような行動力はありません(笑)が、小さなことからでも変えていける気はします

安易にクリエイティブという言葉を使わないとか、ルーティンをバカにしないとか、昨年対比にとらわれないとか、、

楽しくいろいろ考えさせられながら読ませていただきました
| col | 2013/03/31 9:49 AM |
colさん
お久し振りです。小さいことから少しずつでも変えていくと、きっともっと人生が充実するだろうなと思います。音楽以外のことにも言えることですよね。「楽しく、かついろいろ考えられる」はコンセプトのひとつなので、小さいブログではありますがコンスタントにこういうインタヴュー企画を行っていきたいと思います。コメントありがとうございます!
| sayako oki | 2013/04/06 2:49 PM |
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