「音」楽に「専」らのめりこみ「満」足と「充」実を多視点から伝えるブログ
 
財布と生活


2007年。専門入学直前に1万円の白い革財布(銀のドット入り)を買ったら、使い始めて3ヶ月くらいで銀が変色し、白い部分も汚れてきた。「白い財布はあかんし、中途半端な安物もあかんわ」と思った23歳のわたしは、その年の夏にヴィヴィアンの財布を長財布を買った。本当はもっと気に入ったデザインがあったのだが、23100円が限界だったし、それも予算オーヴァーだった。

わたしは音楽媒体で働くことを目標に専門学校に入学した。当時は伊豆高原に住んでいて、そこから西新宿のはずれの学校まで新幹線も使って片道3時間かけて通っていた。田舎に住んでいたからどこに行くにも財布が必要で、定期入れを落としたことがきっかけでPASMOも財布に入れることにした。財布にはバファリンもお守りも絆創膏も入れてある。無意識のうちに「財布がひとつあればどこへ行くにも安心」という状況を作っていた。

だがその財布、2017年の春ごろからファスナーの布の部分が破れてきたり、閉まりも悪くなり、本革の部分はめくれてきたりと、ガタがきはじめた。それからというもの、新しい財布を探すためこまめに丸井と伊勢丹を覗くようになった。だがいつ見てもどの財布もどうもピンと来ない。めちゃくちゃ魅力的なものがふたつあったが、それぞれ12万円と8万円だった。貧乏人には無理無理。それならいいイヤホン買うわ。

そんなこんだで10ヶ月ほど経ち、今年の1月中旬にファスナーの一部分が壊れ、1月30日にはとうとう完全に現金入れのファスナーがすべて閉まらなくなってしまった。というわけで次の日、丸1日かけて新しい財布を探した。丸井伊勢丹西武京王小田急といった百貨店やアウトレットを見て、グッチコーチプラダバーバリーアナスイサマンサタバサなどなど本当にいろんなところの財布を物色し、最終的に結局またヴィヴィアンに落ち着いた。

家に帰り、壊れた財布から新しい財布に中身を移す。ひと通り移し終えて、ふと10年半使い続けた財布に目をやる。その財布を使っていた10年半のことが鮮明にいろいろと思い起こされた。専門学校時代の同期の顔も、いまは疎遠になってしまったあの人たちの顔も、旅行に行ったときのことも、待ちに待ったCDを買うときにこの財布からお金を取り出したときのことも、楽しかった飲み会のことも、本当にいろんなことが蘇ってきた。

中身がなくなって薄くなった財布は、なんだか急に生気がなくなってしまったようで、これまでよりもボロボロ具合も汚れも際立って見えた。職務を全うし満身創痍で現役引退するという事実は、がむしゃらに夢を追いかけ続けた専門学校〜若手ライター時代の青春の終わりを告げられたような感覚にもなった。(でも専門学校生時代に買ったiPod classicがまだ現役だけど!)

この財布と生活をともにした10年半という時間は、自分の人生のなかでも非常に濃く特別な時間だった。これからの日々もそう思えるものにしたい。まずはこの新しい財布のクレジット一括払うミッションというエピソードゼロを乗り越えてからですかね。
【2018.02.01 Thursday 14:51】 author : sayako oki
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